電動化が進んでいる昨今、もうホットハッチって買えなくなってしまったの?と感じている人もいるでしょう。
ホットハッチ。昔はよく耳にしたワードですが、最近はすっかり聞かなくなってしまいましたね。
それでも、コンパクトなボディに俊敏なフットワーク、扱いきれるちょうどいいパワー感は今なお根強い人気ですよね。
最近のハイテク装備は残したままで、見た目にも走りも妥協したくない。
けど、そんな車ってある?
大丈夫です!今でもあるんです!
本日はその代表格、日産 オーラNISMOとホンダ フィットRSの2車種を取り上げます。
実はキャラが全然違う⁈エクステリアの違いについて
そもそもどんな車なの?
日産のオーラNISMO。カタログモデルとしてオーラという基準車がある中で、日産のモータースポーツ部門であるNISMOが手掛けた車です。
NISMOといえば、SUPER GTなどのモータースポーツを舞台に、日産ワークスとして数々の華々しい実績を残してきているのはご承知の通りですよね。
そんなモータースポーツの最前線で培った技術をつぎ込んだモデル。

専用エアロパーツは、「速さを極めるほど美しくなる」という哲学のもと、無駄なパーツは一切なく、全てが空力・冷却性能に効果があるように設計されている、それでいて美しいという、まさに空力美を実現した最新モデルらしい見た目です。
続いて、ホンダのフィットRS。現行のフィットの中で1番スポーティなモデル。
RSはロードセーリングの略で、日常使いの快適性を損なわずに、スポーティな走りを楽しめるといった絶妙な車です。

| 項目 | ホンダ フィット e:HEV RS (FF) | 日産 オーラNISMO (2WD) | 日産 オーラNISMO tuned e-POWER 4WD |
| 全長 | 4,080 mm | 4,120 mm | 4,120 mm |
| 全幅 | 1,695 mm | 1,735 mm | 1,735 mm |
| 全高 | 1,540 mm | 1,505 mm | 1,505 mm |
| ホイールベース | 2,530 mm | 2,580 mm | 2,580 mm |
| 最低地上高 | 135 mm | 130 mm | 130 mm |
| 車両重量 | 1,210 kg | 1,280 kg | 1,390 kg |
| 最小回転半径 | 5.2 m | 5.2 m | 5.2 m |
オーラNISMOとフィットRSの車両寸法を比較してみました。
オーラNISMOの方がフィットより一回り大きく、フィットRSが5ナンバー車なのに対し、オーラNISMOは全幅が5ナンバーの規格を35㎜超えているので「3ナンバー」になります。
また、フィットRSには4WDモデルの設定はありませんが、オーラNISMOの4WDモデルとの車重差は約200㎏。同じ2WDモデル同志でも70㎏の差があるので、ホットハッチに重要な走りには大きく影響してきそうです。
フロントデザイン
オーラNISMO
まずはオーラNISMOから。
オーラNISMOは2024年7月18日にマイナーチェンジ。
カラーバリエーションは合計7色。その内2トーンカラーは5色。
- NISMOステルスグレー/スーパーブラック 2トーン〈NISMO専用色〉〈特別塗装色〉
- ピュアホワイトパール(3P)/スーパーブラック 2トーン〈特別塗装色〉
- ブリリアントシルバー(M)/スーパーブラック 2トーン〈NISMO専用色〉〈特別塗装色〉
- ダークメタルグレー(M)/スーパーブラック 2トーン〈NISMO専用色〉〈特別塗装色〉
- ピュアホワイトパール(3P)〈特別塗装色〉
- ガーネットレッド(CP)/スーパーブラック 2トーン〈特別塗装色〉
- スーパーブラック

マイナーチェンジで通常のオーラのフロントデザインは大きく変わりましたが(個人的にはマイナーチェンジ前が好み)、オーラNISMOはマイナーチェンジ前のデザインを踏襲しています。
今回のマイナーチェンジでボディとの一体感が高められ、グリル表面には、光の移ろいによって美しく煌めくクリスタル・カットデザインが施され、NISMOらしく冷却性能と空気抵抗の低減という相反する要素を両立させたグリルになっています。

また、空力性能を突き詰めたフロントバンパーも装着され、バンパー下部にはNISMOモデルであることが一目でわかる赤いラインが入っています。
フロントバンパーのサイドには、ボディ側面の空気を整流し、ホイールハウス内の乱流を排出する効果がある、縦フィン形状のインレットダクトが設けられていて、単なる飾りではない機能美がやる気をそそります。
灯火類に目を移すと、ヘッドライトはハイビーム含め4眼のフルLEDで、ウインカーは流れるシーケンシャルウインカー、下部にはNISMO専用のライン形状のフォグランプ。
そして、今回のマイナーチェンジでL字型のデイタイムランニングライトが備わり、このクラスでは珍しい先行車や対向車を検知して照射範囲を制御するアダプティブハイビームも備わっています。
【4WDモデル専用オプション】ボンネットデカール
4WDモデルでは、オプションでボンネットにデカールを追加可能。このデカールは、4輪駆動をイメージさせる4本線が入っていて、4WDモデルであることを強調出来るオプションです。

人と一緒はイヤ!足元はおしゃれから!おすすめホイール
オーラNISMO用 LM GT 4S アルミホイール
TE37SAGA SL
フィットRS
フィットRSは、現行フィットの中では異質な存在。
カラーバリエーションは5種類。
- プレミアムクリスタルレッド・メタリック
- シーベッドブルー・パール
- プラチナホワイト・パール
- クリスタルブラック・パール
- スレートグレー・パール

それではフロントデザイン。

他のLUXE(リュクス)やHOME(ホーム)と違い、見た目にもスポーティーテイストが表現されています。
その最たるものがグリル。ハニカムメッシュグリルが採用され、一目で他のフィットとの違いが判ります。
そのグリルとバンパーには、ピアノブラック塗装が施され、張り出し感のある見た目をしているバンパーは、実際に全長が他のグレードに対し85㎜長くなっています。
そのバンパーは、エアロスタビライジングフィンのような形状が入っており、ホイールハウス内の空気を抜いてあげる為の穴も開いているので、ここにホンダのこだわりが感じられますね。
フィットRS用おすすめホイール(インチアップ用)
サイドデザイン
サイドビューは2車で大きく違いが現れています。
オーラNISMO

まず、オーラNISMOについては、専用チューニングされたサスペンションにより、標準のオーラより車高が20㎜下っています。
ボディ下部には、フロント同様に赤のレッドラインが入ったサイドシルプロテクターが搭載。
ドアミラーも専用のレッド塗装となっており、NISMOモデルであることが強調されている見た目になっています。
足元に目を向けると、NISMOの本気度が更に伺える内容に。
なんと、タイヤはハイパフォーマンスカーご用達の「MICHELIN PILOT SPORT 4」。グリップ性能への拘りを感じますよね。
サイズは205/50ZR17となっていて、後述するフィットRSよりも一回り大きいタイヤを装着しています。
そして、ホイールは17インチのブラック&切削の専用デザイン。リム部分にはNISMOロゴの刻印もあり、リム幅は標準のオーラより0.5J拡幅されています。
そして、今回から設定がされた4WDモデルについては、リアモーターが搭載されている兼ね合いで、2WDモデルより110㎏車両重量が増加。この車両重量の増加を相殺するために、4WDモデルでは専用の軽量アルミホイールが採用されています。
2WDホイールに対して肉抜きがされ、約11%~12%の軽量化。新たに設定になった4WDモデルに対して、NISMOが徹底的に拘ってチューニングをした表れですね。
オーラNISMO用レーシングホイール YOKOHAMA ADVAN Racing TC-4
フィットRS
それに対して、フィットRS。

フィットRSのサイドデザインはオーラニスモに比べると専用装備感は少ない印象…。
サイドシルガーニッシュはフロント同様にピアノブラック塗装がされていて、リアタイヤの前で跳ね上がるようなデザインが施されており、フロントからの連続性とリアへの統一性を感じさせます。なんたって、ホンダにはタイプRがありますが、シビックのタイプRの血統を受け継いでいるようなデザインをしています。
そして、ドアミラーはスポーティーモデルらしく、ブラックで塗装されているので、全体的にひきしまって見えますよね。
足元に目を向けると、車高は他のLUXE(リュクス)やHOME(ホーム)と変更はなし。
ただ、サスペンション自体はRS専用に徹底チューニングされたサスペンションが搭載されています。
- 高減衰ダンパー(フロント/リア)
- 強化スプリング(フロント/リア)
- 強化スタビライザー(フロント)
- リニアスタビブッシュ(フロント)
タイヤはヨコハマの「BluEarth-GT AE51」。サイズは185/55R16。
HOME(ホーム)は15インチ、LUXE(リュクス)は、同じ16インチでタイヤはヨコハマのBluEarth-A。そうなんです!タイヤサイズとホイールサイズは同じでも、タイヤの銘柄が異なっており、走りに対してきっちり拘っているのがわかりますね。ホイールもRS専用デザインのホイールで、グロスブラック塗装が施され、フロントグリルやサイドガーニッシュとの統一感が感じられ、足元を引き締まった印象にしています。
フィットRS用 レーシングホイール
リアデザインは明確にキャラの違いが!
オーラNISMO

オーラニスモのリアデザインはモータースポーツでの知見を盛り込んだ見た目!
マイナーチェンジでリアバンパーが進化し、左右にエアスプリッターが備わりました。これでボディサイドから流れてきた空気を理想的に剝離し、空気抵抗の低減に寄与させています。
バンパー下部にはレイヤード・ディフューザーと呼ばれる形状が採用され、床下からの風をキレイに流すことで、こちらも空気抵抗の低減に効果を持たせています。
そして、フォーミュラEを彷彿とさせるような赤いリアフォグランプは、これだけで所有欲を駆り立てるような専用装備として備わります。
ここで灯火類に触れておきますね。リアの灯火類はフルLED。ただ、ナンバー灯だけは豆球となっているので、唯一ここがプレミアムコンパクトカーを名乗るのには惜しい点です…。
上部には大型のルーフスポイラーも備わり、純正ならではで違和感なく、それでいて高速走行時の安定性にも貢献しています。
フィットRS
続いて、フィットRS。フィットRSのリアデザインは、フロント・サイドと同様、ブラックパーツを多用することで、ワイド&スポーティー感を強調しています。

フィットRSのリアデザインを印象づけるのが、RS専用のリアバンパーです。グロスブラックを広範囲に取り入れており、スポーツカーらしくリアビューにワイド感を持たせています。
そして、オーラNISMOのマフラーが、完全に隠されるデザインとなっていたのに対し、フィットRSは、専用エキパイプフィニッシャーが装着されていて、マフラーをあえて見せるデザインになっています。
スポイラーは標準グレードより大型化されたRS専用のテールゲートスポイラーが装着されていて、リアのスポーティーさを強調しています。
内装はスポーティなのに高級感もある?インテリアを掘り下げてみよう!
インテリア比較!
オーラNISMO

オーラNISMOのインテリアは、上質さをベースにしながら、赤と黒を基調にしたスポーティーな仕立てになっています。
NISMOモデルらしく、ルーフライニングやピラーはブラックに変更。ステアリングやインストパネル、アームレスト、シートなどの随所にレッドステッチが施されており、スポーティーな雰囲気を随所に演出しています。
インストパネルやアームレストは専用の合皮素材を使用。
シートやセンタコンソール、インストパネルにステアリングにまでNISMOのロゴが入っており、フィニッシャーはレッドカーボン調に変更され、特別なモデルであることが強調されています。







ステアリングはNISMO専用の本革・アルカンターラ革ステアリングとなり、アルカンターラは人工皮革でグリップ性能に優れ、ステアリング上部にはレッドセンターマークが入り、レーシーな雰囲気を漂わせています。
シートは専用ファブリックと合皮を合わせたコンビシートで、オプションで含めて3種類。



今回のマイナーチェンジで、運転席にはパワーシート(スライド、リクライニング、リフターの6ウェイ)が標準装備に。助手席は従来通り手動です。
2WD車では「ホットプラスパッケージ」というセットオプションを選択、4WD車は標準で前席にシートヒーターが標準装備になります。
さらに、ヘッドレストスピーカーを備えた「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」をメーカーオプションとして選択可能で、マイナーチェンジ前までは標準のオーラ専用装備でしたが、今回NISMOでもオプションで選択可能に。この、「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」は運転席と助手席にフォーカスしたもの。
合計8つのスピーカーが配備されますが、
- フロントドアスピーカー
- 前席デュアルヘッドレストスピーカー(運転席・助手席のヘッドレスト)
- ツイーター(高音域用スピーカー)
と前席に集中して配置されています。
そうなんです。「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」を選択すると、リアスピーカーがなくなってしまうデメリットがあるんです。後席に人を乗せる頻度が高い人は、この点を考慮して選択した方がいいでしょう。
そして、NMCオプションのRECAROシート。NMCとは「日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社(NMC)」の略称。
それはわかったけど、NMCオプションってなんじゃ、と思う方も多いと思います。
これはメーカー工場装着として車両登録できないので、装着後に持ち込み登録となる都合、「NMCオプション」という形になっているんです。
でも、日産のRECAROシートは車種専用設計で、古くからRECAROを採用してきた背景もあり、ホールド感は折り紙つき。今回のマイナーチェンジで、運転席と助手席にもパワーリクライニング機能が追加され、より最適なドライビングポジションが取りやすくなりました。もちろん、オプションのRECAROシートを選択しても、ヒートシーターは選択可能!
ただし、RECAROシートとBOSEパーソナルプラスサウンドシステムは同時装着出来ないので、ここは悩みどころですね。
あと、補足的な話ですが、オーラNISMOのシートベルトは専用の赤いシートベルトが標準装備されます。
フィットRS
フィットRSの内装はグレー基調で、スポーティというよりアットホームな雰囲気です。
そして、ステアリングやシート、ドアトリム、アームレストにイエローステッチが効果的に配置されており、RSならではの雰囲気を醸し出しています。
シートはRS専用のプライムスムース(合成皮革)とウルトラスエードのコンビシート。
残念ながら、運転席・助手席ともに手動で調整するシートが採用されています。
フロントシートの背もたれと座面中央にはパンチング加工されたウルトラスエードが採用され、中から黄色がうっすら見える凝ったデザインになっています。

シートは柔らかすぎず硬すぎず、適度なホールド性もあって長時間運転でも問題なし!
ステアリングホイールは標準のフィットが2本スポークなのに対し、フィットRSは3本スポークの本革ステアリングが採用され、スポーク部はピアノブラック塗装の加飾があり、イエローステッチとの組合せでスポーティテイストを演出しています。

ステアリングは上下(チルト)と前後(テレスコピック)を手動で調整可能。
ここから注意点。フィットではHOME(ホーム)やLUXE(リュクス)にはステアリングヒーターやシートヒーターの設定がありますが、RSにはオプションでも設定がありません…。
インストルメントパネルに目を移すと、メーター中央はカラーの液晶ディスプレイ(7インチTFT液晶メーター)、左右に透過照明式の燃料計とバッテリー計があります。
ここはオーラNISMOが12.3インチの液晶ディスプレイを搭載しているので、オーラNISMOに軍配があがりますね。
でも、フィットRSは小さいメーターの中に、ドライバーに必要な情報がきっちり表示されるんです。
具体的には、
- カーナビゲーションの簡易表示(ナビと連動して、交差点などを矢印で案内)
- パワーフロー表示(e:HEVモデル専用でエンジンとモーター、バッテリーの動力の流れを視覚で表示)
- 燃費情報
- 安全支援情報(HONDA SENSING)
- ドライブモード表示(e:HEV RS専用でNORMAL/SPORT/ECONの3つから現在選択しているモードを表示)
- 減速セレクター表示(e:HEV RS専用でパドルシフトで4段階調整できる減速の強さを表示)
- 各種車両表示(オーディオ、電話、全席のシートベルト装着状況)
と意外や意外に表示できる内容が多いんです。しかも、表示も大きく運転中でも見やすいんです!

後部座席はどちらも甲乙つけがたい。
後部座席については、オーラNISMO・フィットRSともにクラス最大級の広さを誇ります。どちらも大人の方が座っても十分なスペースが確保されています。
オーラNISMO
オーラNISMOから掘り下げてみると、後席もNISMO専用のファブリックと合成皮革にレッドステッチがあしらわれています。もちろん後席にも赤いシートベルトが装備されています。
後席は6:4の分割可倒式のシートでリクライニングも可能です。ただ、標準のオーラには後席アームレストがあるのに、オーラNISMOでは後席のアームレストはなぜか「ない」仕様です。センタコンソールの後端にはUSB Type-Cの電源ソケットが装備され、スマートフォンを入れるポケットもあります。
ちなみに、助手席側にのみシートバックポケットがあります。

フィットRS
続いてフィットRS。後席シートはプライムスムース(合成皮革)とファブリックのコンビシートです。前席と違い、滑りにくい、ウルトラスエードは後席では採用されていません。
後席は6:4の分割可倒式のシートで、オーラNISMOにあった「リクライニング機能」こそありませんが、チップアップ&ダイブダウン機構が変わりに搭載されています。
うん⁉チップアップ&ダイブダウン機構ってなんじゃそりゃ?
チップアップは、座面を跳ね上げて、後席に背の高いもの(観葉植物や子供用自転車なんか)を積むのに便利な機能、
ダイブダウンは、シートを倒す際に、座面が沈み込みながら格納されることで、フラットで床の低い荷室空間を作り出す機能のことです。
センタータンクレイアウトと呼ばれる、燃料タンクを前席(運転席)の下に移動させるホンダの専売特許で、後部座席下のスペースが空くので、チップアップ機構や、座面が深く沈み込むダイブダウンが可能になっているってわけです。
そして、オーラNISMOにも搭載されていた、センタコンソールのUSB Type-Cポートはe:HEVのみカバー付きで2個装備されています。
さらに、オーラNISMOに設定はなかった、リアセンターアームレストも2024年9月の小変更で標準装備となり、運転席と助手席の両方にシートバックポケットが設定されています。
荷室の違いは?
続いて荷室ですが、コンパクトカーとよばれるジャンルにおいては、十分な積載能力をオーラNISMOもフィットRSも持ち合わせています。
オーラNISMO
まず、オーラNISMOからですが、後部座席は60:40の分割可倒式。
同クラスの中ではかなり使い勝手のいい荷室となっております。
幅と奥行きはBセグメントのハッチバックとしては標準的なサイズで、開口部は正方形に近い形状で大きく取られています。
床下収納はリアモーター搭載の兼ね合いで、2WDモデルと4WDモデルとで異なっており、2WDモデルは床下にそれなりの収納スペースがありますが、4WDはリアモーターが搭載されるので、床下収納は”ほぼなし”です。
肝心なところ、後部座席を倒した際の荷室スペースにスポットを当てましょう。後部座席は肩にあるレバーを操作して倒すことが出来ます。
そして、駆動方式(2WDか4WD)かで後部座席を倒した際の荷室スペースは大きく変わってきます。
まず、2WDモデルの場合、後部座席を倒すと、荷室の床面が低く設計されている影響で、荷室の床面との間に大きな段差が発生してしまいます。
一方、4WDモデルの場合、後席を倒しても段差が発生しないので、フラットで広大な荷室スペースが確保されています。
でも、そこは日産様。きちんとオプションで対策品を用意してくれています。
ラゲッジアンダーボックスというオプションを装着することで、4WDモデル同様にフラットな荷室にすることができます。
あと、荷室には、ラゲッジランプは標準装備、買物した袋を引っ掛ける荷室フックは装備なしです。

フィットRS
続いて、フィットRSの荷室を見ていきましょう。
フィットRSの荷室は、開口部の下部が非常に低くレイアウトされていて、荷物の積み下ろしが非常にし易く設計されています。
ラゲッジスペースの容量もコンパクトクラスでは最大級。
また、床下収納(アンダーボックス)も備わり、ハイブリッドモデルでもパンク修理キットが収まるぐらいのスペースが確保されています。
そして、リアシートを倒すと、ダイブダウン機構により、ほぼフラットに近い荷室が出現!
低くて広い荷室を実現しているのは、まさにホンダのセンタータンクレイアウトの恩恵ですね。
ちなみに、ラゲッジランプは標準装備、左右には荷室フックが装備されています。

走行性能・快適装備
走行性能を比較!
まずは、オーラNISMOとフィットRSの諸元表を見比べてみましょう。
| 項目 | フィット e:HEV RS (FF) | オーラNISMO (2WD) | オーラNISMO tuned e-POWER 4WD |
| エンジン | 1.5L 直列4気筒 | 1.2L 直列3気筒 | 1.2L 直列3気筒 |
| エンジン最高出力 | 78kW (106PS) | 60kW (82PS) | 60kW (82PS) |
| エンジン最大トルク | 127N·m | 103N·m | 103N·m |
| フロントモーター | 最高出力: 90kW (123PS) <br> 最大トルク: 253N·m | 最高出力: 100kW (136PS) <br> 最大トルク: 300N·m | 最高出力: 100kW (136PS) <br> 最大トルク: 300N·m |
| リアモーター | – | – | 最高出力: 60kW (82PS) <br> 最大トルク: 150N·m |
オーラNISMO
「駿足の電動シティレーサー」を謳うオーラNISMOは100%モーター駆動のシリーズ式ハイブリッド、日産のお家芸「e-POWER」です。
マニュアルの設定こそはなけれど、電動パーキングブレーキにオートホールド(メモリー機能付)が装備されるので、マニュアルにこだわりがなければ使い勝手は抜群!
1.2L 直列3気筒「HR12DE」は発電専用として黒子に徹します。駆動は100%モーター駆動になるため、EVのように力強い走りが売りの車です。
パワートレインは、フロントモーター(EM47)は最高出力100kW(136PS)、最大トルク300N.mを発生。
これは、通常のオーラと出力・トルク共に変更はないですが、300N.mという大トルクはそもそもガソリン車の3.0L級に匹敵。
そこにNISMOの専用コンピュータチューニング(VCM)が入り、加速感とレスポンスがオーラNISMOは研ぎ澄まされています。
また、標準のオーラが「ECO/NORMAL/SPORT」の3モードなのに対して、オーラNISMOは「ECO/NORMAL/NISMO」の3モードに変更。


これだけみると、「SPORT」が「NISMO」に変わってるだけじゃんと思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、そこはなにそれNISMOです。
やり過ぎちゃってるぐらい出力特性が変更されているんです。
ものの例えにはなりますが、標準のオーラの「SPORT」がオーラNISMOの「ECO」に匹敵するくらいぐらい出力が変更されているんです。
もっというと、「NISMO」モードは俊敏過ぎて、市街地では持て余すレベルに刺激力を強めてくれるモードです。まさに、駿足の電動シティーレーサー。
さらに、マイナーチェンジで追加になった、NISMO tuned e-POWER 4WDはモーターの出力・トルクが標準のオーラより強力になっています。
NISMO tuned e-POWER 4WDでは、リアモーター(MM48)は最高出力: 60kW(82PS)、最大トルク:150N.mを発生させています。標準のオーラの最高出力は50kW(68PS)、最大トルク:100N.m。
チューニングによって、最高出力で10kW(14PS)アップ、最大トルクはなんと1.5倍にまで増加!

ここで、「NISMOモード」を選択すると、リアモーターへ積極的に駆動力を配分し、アクセルオンでグイグイ内側に切り込んでいく、後輪駆動車のような旋回性能を発揮するんです。これは、往年の「アテーサE-TS」を現代の技術で再現しているような気分になりますね。
そして、気になるのは乗り心地。NISMO専用のサスペンションを装備しており、車高も標準のオーラより20㎜ローダウンされています。
ターゲットはワインディングからサーキットまで、なので標準のオーラより乗り心地は硬めです。でも、リアにはモノチューブ式ショックアブソーバーが採用されています。一般的なツインチューブ式より、デコボコ道を通った時の収束がいいので、大きな突き上げはうまく丸めてくれるんです。なので、日常使いでは十分許容範囲!
もちろん、サーキットなんかでも応答性や設置性が向上し、熱にも強い構造をしているので安心です。
ただ、フロントは耐久性に優れているベンチレーテッドディスクが採用されているのに、リアのブレーキがドラム式ブレーキなので、スポーツモデルを名乗っている車からすると…な気もします。

フィットRS
対抗馬のフィットRS。ロード・セーリングを謳うフィットRSの主戦場は高速道路やワインディングです。日常の快適性はそのまま、運転する楽しみを感じられるようにバランスされた車です。
フィットRSはe:HEV。こいつはちょっと複雑な機構をしていて、基本はモーターで走り、高速道路などのエンジンが得意な領域はエンジンで駆動する、賢いハイブリッドになっています。これを、ホンダではe:HEV(イーエイチイーブイ)と呼んでいます。
具体的に、車が走っている際の負荷に応じて、車自身が自動で判断をして3つの走行モードに切り替えています。
- EVモード:バッテリーからの電力でモーターのみで走行するモード(エンジン停止)
- ハイブリッドモード:エンジンで発電した電力とバッテリーからの電力でモーターを駆動し走行するモード
- エンジンモード:高速巡航時などのエンジンが得意な領域で、エンジンと車輪が直結してエンジンだけで走行するモード

走行中にモードが切り替わっても、ドライバーには切り替わりが全く分からないほどスムーズ。
こちらも、電動パーキングブレーキにオートホールド(メモリー機能はなし)が装備されています。
そこに、フィットRSのe:HEVモデルにはドライブモードの切替えが出来るスイッチがあります。RS専用装備で、走りの楽しさを堪能するために、アクセル操作に対する応答性や加速特性を変化させるためのエッセンスです。
- NORMALモード
- SPORTモード
- ECONモード

そして、RSのe:HEVモデルでは、ドライブモードの選択で、単にアクセル操作に対するマップが変更されるだけでなく、シャシーチューニングやe:HEVシステムと連動して、よりドライバーの意図に合わせて答えてくれるようせ制御が施されています。
具体的に、SPORTモードを選択すると、アクセル操作に対するレスポンスが格段によくなります。特にロード・セーリングを謳うだけあり、ワインディングで走りの気持ち良さを味わえるようにセッティングされています。
e:HEVは基本的にモーター駆動になりますが、SPORTモードでは、「リニアシフトコントロール」という技術で、トランスミッションを有してるかのようなリズミカルなシフトチェンジ音を奏でて、ドライバーの運転意欲を高揚させてくれるギミックが搭載されています。
ちなみに、ガソリンモデルのRSはSモードと呼ばれるスイッチがシフトレバーの近くにあり、ギアが一段下がったように回転数が上がり、アクセルレスポンスがよくなります。
さらに、RS専用サスペンションが装着され、高減衰ダンパーと強化スプリング、強化スタビライザー(e:HEVモデルのみ)で、操舵に対する応答性の向上と、荒れた路面でも車体の揺れの収束の良さを実現させています。
最後に、走りにおけるe:HEVモデルのRS専用装備、これがパドルシフト!
RSと名乗るからには、ついて欲しい装備ですよね。e:HEVのRSにしか搭載されていないので、所有欲を高めてくれますよね。

このパドルシフトは減速セレクター。シフトアップやシフトダウンではなく、アクセルオフした際の減速の強さを4段階で調整してくれるものです。
SPORTモード(ないしBレンジに入れている場合)を選択していると、ドライバーが選択したアクセルオフ時の減速度は固定されます。
NORMALとECOモードで走行している場合は、パドルシフトで選択した減速度は一定条件下で自動解除。(右側の減速セレクターを数秒間引き続けても解除可能)
快適装備の違い。オーラNISMO vs フィットRS 5本勝負!
快適装備は愛車を長い年月乗り続けていくうえで、大切な要素ですよね。
双方、コンパクトカーというジャンルながら、メーカーの威信をかけて開発された車なので、メーカーならではのこだわりがてんこ盛り。それでは、どういった装備があるのか、それは両車ともに有しているのかを見ていきましょう。
シートヒーターとステアリングヒーター オーラNISMO:〇 フィットRS:×
オーラNISMOは4WDモデルでは標準装備、2WDモデルでもオプションのホットプラスパッケージを選択すると装備可能です。一方、フィットRSではオプションでも装着不可。
運転席のパワーシート オーラNISMO:〇 フィットRS:×
オーラNISMOはマイナーチェンジで運転席のパワーシート(6ウェイ)が標準装備。一方で、フィットRSは手動調整式。
パドルシフト オーラNISMO:× フィットRS:〇
フィットRSのe:HEVモデルでは、パドルシフトが装備されています。一方で、オーラ NISMOはパドルシフトの設定はなし。
プレミアムオーディオ オーラNISMO:〇 フィットRS:×
オーラはBOSEパーソナルプラスサウンドシステムをオプションで設定可能。一方、フィットRSはプレミアムオーディオの設定はなし(KENWOODは選択できるが、6スピーカーに留まるため対象外)。
後席のアームレスト オーラNISMO:× フィットRS:〇
オーラニスモは後席のアームレストはなし。フィットRSは後席のアームレスト(ドリンクホルダー付)あり。
結果
オーラNISMO:3勝>フィットRS:2勝でオーラNISMOの勝ち!
購入に関する注意点
車両価格の違い
まず、ホンダ フィット e:HEV RS。こちらの本体価格は\2,754,370。
メーカーオプションのHonda CONNECTディスプレー+ETC2.0車載器が\198,000。
一方で、オーラNISMO 2WDは\3,125,100、オーラNISMO 4WDは\3,531,000となり、メーカーオプションのセットパッケージは421,300円(アラウンドビューモニターやデジタルインナーミラー、ワイヤレス充電にBOSEサウンドシステムに各種安全装備を含むパッケージ)。
しかも、オーラNISMOの4WDは環境性能割やエコカー減税が適用されないので、実質購入金額でいくと100万円以上の差が…。同じ車格で100万以上の差が出るとなると慎重にならざるを得ませんね。
シートヒーターとステアリングヒーターの搭載有無
今どき軽自動車でも搭載されている、シートヒーターとステアリングヒーターですが、オーラNISMOには搭載されていますが、フィットRSには非装備となります。冬場の快適性を重視するうえで、シートヒーターとステアリングヒーターが選択できないのは大きなマイナスポイントとなるでしょう。
全方位モニターの搭載有無
全方位モニターは車の安全装備を語る上ではなくてはならない必需品。でも、フィットではグレードによって選択出来たり出来なかったりするんです。フィットでは、HOMEとLUXE以外はそもそも装備不可。オーラNISMOはアラウンドビューモニターを搭載しているので、駐車が苦手な方はこの点は見落とせません。
まとめ:結局どっちが買い?
結局どっちが買いなの?非常に難しいですね。
往年の日産やホンダファンといった方は抜きにして、どちらの車両も非常にいい車です。
なので、どちらを買っても損はないということは、事前にお伝えさせて下さい。
そのうえで、個人的にはオーラNISMOを推したいと思います。
まず、見た目は、個人的な嗜好的な要素も入りますが、専用のエアロを身にまとっているオーラは純粋にカッコイイなぁと思います。
そして、内装の質感や先進装備は、同じ2輪駆動のフィットe:HEV RSより乗り出し価格が約70万円程高くても、オーラNISMOを選択したいですよね。
恐らく、他の車種を見ていても、NISMOモデルは値落ちしにくいので、リセールバリューも期待できますよね。
あとは、車内のユーティリティや運転のしやすさ、究極は予算に応じてということになりますが、どちらを買っても後悔はしないので、是非ディーラーで見て・触って・試乗して購入をご検討されることをオススメします。


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