三菱自は「ルノー・日産・三菱アライアンス」に属しており、これまでは日産との関係を重視してきました。
しかし、今回EV戦略において、日産ではなく、ホンハイと手を組む選択をしました。
ではなぜ、日産ではなくホンハイなのか。その理由を紐解いていきます。
三菱自動車のEV戦略と課題
三菱自は、「i-MiEV」で世界初の量産型電気自動車を市場に投入するなどして、かつてはEV分野で他社より先行をしておりました。しかし、近年はテスラやBYDなどの海外メーカーに押されており、単独では競争力を維持するのが難しく、「ルノー・日産」連合と協業する形で市場での競争力をなんとか保持し続けてきましたが、年々EV市場での存在感が薄れておりました。
一方で、三菱自の強みは東南アジア市場。特にタイ・インドネシア・フィリピンなどではマーケットシェアが高く、ピックアップトラックやSUVに強みをもっています。EVシフトはゆくゆくは避けられないものの、開発費の捻出や技術開発コストが大きな課題となっており、新たな協業先を模索しておりました。
ホンハイと協業する理由
①開発コストの削減と市場投入スピード
ホンハイはEV向けのプラットフォームを持ち合わせており、EVの受諾生産にも力を入れております。三菱自はゼロからEVを開発する必要がなく、ホンハイの技術や製造ラインを活用することで、短期間でかつ低コストなEVを市場に投入することが可能になります。
②東南アジア市場との相性
ホンハイは、タイでEV生産を進める計画を持っております。三菱自もタイを主要生産拠点にしており、両者の戦略は一致しております。現地生産により、コストを抑えながら、東南アジア向けのEV車種を展開しやすくなります。
③日産とのEV戦略の違い
日産はルノーとのアライアンスもあり、フランスを中心にEV事業を展開する方針を打ち出しております。これは、三菱自が得意とする東南アジアにフォーカスしておらず、戦略的にホンハイと組んだ方が合理的だと判断した可能性もあります。
今後の影響について
ホンハイとの協業によって、EV市場で大きく巻き返しを図られる可能性があります。東南アジアではEV普及が進んでおり、タイでは2023年の新車販売の10%をEVが占め、2040年には普及率が約40%に達する見込みとなります。競争力のあるEVを低価格で投入できれば、市場を席巻できる可能性すらあります。
一方でホンハイと協業がうまく成功するかは不透明で、日産との関係にも大きく影響を与える可能性もあります。
まとめ
三菱自がホンハイと協業する決断をしたのは、主戦場となる市場の一致(相性)、コスト削減、スピード感など、実利的な一面が大きいと考えられます。これまでの日産との協業は、双方の市場が合致せず、EV開発の方向性にも食い違いが発生していた可能性もあります。
いずれにしても、ホンハイとの協業が成功するか否かは不透明。今後の動向を見守っていきたいと思います。
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