優れた名作を数多く世に生み出した作家・山崎豊子。彼女の作品は思いがけず見入ってしまうものばかり。そんな彼女の原作ドラマの中で、個人的におすすめする名作ドラマ3選を紹介します。
白い巨塔(2003年版)
主演:唐沢寿明、江口洋介
医療界の権力争いを描いた傑作。野心的な外科医・財前五郎(唐沢寿明)が、教授選や医療裁判に巻き込まれる様子を描く。唐沢寿明の迫真の演技と、江口洋介演じる正義感あふれる里見教授との対比が見どころ。特に泥沼化していく裁判の中で、自身に降りかかる不幸と、それを諭す里見教授との掛け合いは、両者の相容れない想いのぶつかり合いとなり、衝撃のラストを迎えることとなる。20年以上前の作品ではあるが、生々しい医療業界の権力争いにメスを入れた作品は、今もまったく色あせることはない。
沈まぬ太陽(2016年版)
主演:上川隆也、渡部篤郎
日本航空123便墜落事故をモデルにした壮大な作品。大手航空会社の労働組合で活動した主人公・恩地元(上川隆也)が、不条理な左遷や巨大権力との闘いに巻き込まれる物語。前代未聞の僻地勤務の連続や、家族と離れ離れに暮らすこととなる境遇の中で、自身のほこりやプライドを最後まで曲げることなく、腐敗した組織に真っ向から立ち向かう姿には勇気を与えられる。仕事が行き詰った時や、嫌なことが続いたときに、いつまでも立ち止まってられないと奮起させられるドラマ。渡辺謙主演の映画版(2009年)もあるが、ドラマ版はより丁寧に描かれており、上川隆也の誠実で真っ直ぐな恩地役は、本当に適役だったと言わざるを得ない。渡部篤郎演じるもう一人の主人公・行天四郎との間で、すれ違いや理不尽を受けても、良き旧友のままでいて欲しいと願う恩地。出世街道まっしぐらの行天と僻地たらいまわしの恩地、別々の道を歩んでいく二人を待ち受ける未来とは。
華麗なる一族(2021年版)
巨大銀行の後継者争いを描いたドラマ。2007年版の木村拓哉が主演のドラマ化作品もあるが、中井貴一主演のドラマの方が、ドロドロとした人間関係や親子関係の軋轢を見事に描いており、こちらの方が壮大で見ごたえがある。父親との確執や金融業界覇権争いを舞台に、財閥家の光と影、家族の悲劇が重厚に描かれておいる。覇権争いを征するために、あらゆる手段を投じる万俵頭取(中井貴一)。息子・万俵鉄平(向井理)に対する仕打ちやいずれ訪れる不幸、そしてその不幸の真実を知った先に残ったものはなんだったのか。
まとめ
山崎豊子作品は、どれも骨太なテーマを扱い、社会のリアルな側面をそのままねじ曲げることなく鋭く描いている。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
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