かつて、国産高級ミニバンの王座に君臨していたのはエルグランドでした。
1997年に初代が登場すると月販1万台を超える大ヒットを記録し、「高級ミニバン」という新ジャンルそのものを切り開いたモデルです。しかし2002年にトヨタがアルファードを投入すると状況は一変。3代目エルグランドが2010年に登場した際に市場が求める方向性とズレが生じたことが響き、販売台数は年々落ち込んでいきました。2022年の年間販売台数はアルファードの約6万台に対し、エルグランドはわずか2,214台。2024年には月平均118台にまで落ち込んでしまいました。
その「かつての王者」が、16年ぶりのフルモデルチェンジで反撃に出ます。2026年7月発売予定の新型エルグランド(E53型)です。
アルファード一強が続いてきた高級ミニバン市場に、エルグランドはどこまで食い込めるのか。まずは全グレードの価格と装備を整理しながら、アルファードとの対決構図を見ていきます。
全グレード価格一覧
| グレード | 価格(税込) | ベース |
|---|---|---|
| e-POWER X | 6,897,000円 | 標準 |
| e-POWER AUTECH LINE | 7,179,700円 | Xベース |
| e-POWER G | 7,579,000円 | 標準 |
| e-POWER AUTECH LINE “G-Spec” | 7,784,700円 | Gベース |
| e-POWER AUTECH | 8,247,800円 | Gベース |
| e-POWER VIP | 8,698,800円 | Gベース |
| ステップタイプ | 発売時発表 | — |
全グレードに共通するのは以下の3点です。
- 第3世代e-POWER(1.5L VCターボエンジンで発電+モーター駆動のシリーズハイブリッド)
- e-4ORCE(電動4WD)全車標準搭載
- 3列7人乗りのみ(2WD・2列仕様の設定なし)
XとGの装備差を徹底比較
新型エルグランドを選ぶ際、多くの方が最初に悩むのがXとGの選択です。約68万円の価格差がありますが、この差が具体的に何に相当するのかを整理しました。
| 装備 | e-POWER X | e-POWER G |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 6,897,000円 | 7,579,000円 |
| 標準ディスプレイ | 12.3インチ | 12.3インチ |
| 14.3インチ「モノリス」ディスプレイ | オプション(249,700円) | オプション(249,700円) |
| シート素材 | 合成皮革 | ファブリック+本革調(上質素材) |
| シートベンチレーション | なし | 標準装備 |
| 2列目シート | トリプルオットマン+中折れ機能(全グレード標準) | トリプルオットマン+中折れ機能(全グレード標準) |
| 後席モニター取付けパッケージ | 天吊り型(249,700円セット内に含む)本体はディーラーオプション | シートバック型(16,500円)本体はディーラーオプション |
| BOSEプレミアムサウンドシステム | 選択不可 | オプションセットで選択可 |
| プロパイロット2.0 | 選択不可 | オプションセットで選択可 |
| ヘッドアップディスプレイ | なし | オプションセットで選択可 |
最も大きな差は、BOSEとプロパイロット2.0がXグレードでは一切選択できないという点です。これらを搭載したい方はGグレード以上が必須になります。
オプション・注目装備 詳細解説
新型エルグランドのオプションはグレードによって選べる内容が大きく異なります。特にBOSEやプロパイロット2.0はXグレードでは一切選択できないため、購入前に必ず確認が必要です。
全グレード共通オプション
● 14.3インチ「モノリス」ディスプレイ(249,700円)
ナビゲーションと液晶メーターを縦長の大画面に統合したシステムです。標準は12.3インチで、モノリスはオプション扱いです。展示車のほとんどが装着しているため標準装備と勘違いされがちですが、全グレードで追加費用が発生します。

● e-4ORCE(電動4WD)
今回、全グレードがe-4ORCE(電動4WD)という4輪駆動になります。2輪駆動の設定はありません。前後に独立したモーターを配置し、それぞれのトルクをミリ秒単位で制御する日産独自の電動4WDシステムです。雪道・濡れた路面での安定性だけでなく、コーナリング中の車体姿勢制御にも貢献してくれる定評のあるシステムです。

Gグレード以上のみ選択可能なオプション
● BOSEプレミアムサウンドシステム(22スピーカー)+遮音ガラス セット(258,500円)
計22スピーカーを車内に配置する本格オーディオです。ヘッドレスト部分にもスピーカーを内蔵しており、後席乗員も含めた全席で高品位なサウンドを楽しめる設計です。単体での選択はできず、遮音ガラス(アコースティックガラス)とのセット設定のみとなります。遮音ガラスはフロント・フロントドア・フロントクォーター・リアドアの広範囲に採用されており、258,500円でこの2点セットを選択できます。
● プロパイロット2.0 セットオプション(732,600円) Gベース車のみ
高速道路でのハンズオフ走行・自動車線変更・追い越し支援を含む国内最高峰の安全運転支援システムです。以下の5点がセットになっており、単品での選択はできない点に注意が必要です。
- プロパイロット2.0(ハンズオフ走行・自動車線変更・追い越し支援)
- プロパイロット リモートパーキング
- ヘッドアップディスプレイ
- BOSEプレミアムサウンドシステム(22スピーカー)
- 遮音ガラス(アコースティックガラス)
オプション価格まとめ
| オプション | 対応グレード | 価格 |
|---|---|---|
| 14.3インチ「モノリス」ディスプレイ | 全グレード | 249,700円 |
| BOSEプレミアムサウンド(22SP)+遮音ガラス | Gベース車以上 | 258,500円 |
| プロパイロット2.0+BOSE(22SP)+遮音ガラス セット | Gベース車のみ | 732,600円 |
| ツインガラスルーフ(電動チルト&スライド・UVカット) | — | 154,000円 |
| アクセサリーコンセント(AC100V・車内3か所) | — | 99,000円 |
| クリアビューパッケージ(リアLEDフォグ+ワイパーデアイサー) | — | 33,000円 |
| 後席モニター取付けパッケージ(天吊り型)+本体(DO) | Xベース車 | パッケージは249,700円セット内・本体価格は発表予定 |
| 後席モニター取付けパッケージ(シートバック型)+12.8インチ本体×2(DO) | Gベース車以上 | パッケージ16,500円・本体価格は発表予定 |

注意点:XグレードはBOSEもプロパイロット2.0も選択不可。また、プロパイロット2.0を選ぶとBOSEと遮音ガラスが必ずセットになります。
ボディカラーと外観
新型E53エルグランドのボディカラーはグレードによって選べる色が異なります。また、無償で選べるのはダークメタルグレー1色のみで、定番の白・黒も有償である点に注意が必要です。
標準グレード(e-POWER X / G)のボディカラー(全5色)

| カラー名 | 追加費用(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| ダークメタルグレー | 無償(0円) | 無償色 |
| プリズムホワイト | +60,500円 | — |
| ミッドナイトブラック | +60,500円 | — |
| 至極(シゴク) | +75,900円 | — |
| フジドーン × 至極 | +253,000円 | 2トーン仕様・標準グレード専用 |
AUTECH LINE のボディカラー(全5色)

| カラー名 | 追加費用(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| ダークメタルグレー | 無償(0円) | — |
| プリズムホワイト | +60,500円 | — |
| ミッドナイトブラック | +60,500円 | — |
| 至極(シゴク) | +75,900円 | — |
| ディープオーシャンブルー | +60,500円 | AUTECHシリーズ専用色 |
AUTECH のボディカラー(全6色)

| カラー名 | 追加費用(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| ダークメタルグレー | 無償(0円) | — |
| プリズムホワイト | +60,500円 | — |
| ミッドナイトブラック | +60,500円 | — |
| 至極(シゴク) | +75,900円 | — |
| ディープオーシャンブルー | +60,500円 | — |
| ディープオーシャンブルー × スーパーブラック | +115,500円 | 2トーン(AUTECH専用) |
VIP のボディカラー(全5色)

| カラー名 | 追加費用(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| ダークメタルグレー | 無償(0円) | — |
| プリズムホワイト | +60,500円 | — |
| ミッドナイトブラック | +60,500円 | — |
| 至極(シゴク) | +75,900円 | — |
| ディープオーシャンブルー | +60,500円 | — |
各グレード詳細解説
1. e-POWER X(6,897,000円)
注目ポイント:自動車税がコンパクトカーと同水準
搭載エンジンが1.5Lのため、年間の自動車税は約34,500円と、ラージサイズミニバンなのにコンパクトカー並みに経済的です。2.5Lハイブリッドのアルファードが約45,000円であることを考えると、毎年10,500円の節約になります。10年乗り続ければ税負担だけで10万円以上の差が生まれます。
主な装備
– アダプティブLEDヘッドライト
– 電動4WD「e-4ORCE」
– 減衰力可変サスペンション
– ※14.3インチ「モノリス」ディスプレイ(ナビ+液晶メーター一体型)はメーカーオプション:249,700円
ただし、BOSEオーディオやプロパイロット2.0は選択できません。音響・運転支援にこだわる方はGグレード以上を検討してください。
2. e-POWER G(7,579,000円)
標準グレードの上位モデルです。Xから約68万円アップし、シート素材の質感向上やシートベンチレーションの標準装備に加え、BOSEプレミアムサウンドとプロパイロット2.0が選択できる点が最大の強みです。
音響や安全運転支援にこだわる方にとっては、Gグレード以上からが候補となります。プロパイロット2.0セット(732,600円)を加えると総額は約831万円、さらにモノリスディスプレイ(249,700円)も追加すると約856万円になることを念頭に置いておきましょう。
3. e-POWER AUTECH LINE(7,179,700円 / G-Spec:7,784,700円)
「クールでスタイリッシュ」をコンセプトにした、ライトなカスタムグレードです。XベースとGベース(G-Spec)の2種類が用意されています。
専用外装
– ダークメタルグレーの専用フロントグリル
– メタル調フィニッシュのサイドドアミラー
– ダーク金属調の18インチアルミホイール
専用内装
– 専用テーラーフィットシート(ブラック)
– ダーククロームフィニッシャー付きステアリングホイール


標準Xとの価格差が約28万円と比較的小さいため、外見の差別化を求めるなら選びやすいグレードです。G-Specを選べばBOSE・プロパイロット2.0のオプション選択権も得られます。
4. e-POWER AUTECH(8,247,800円)
「プレミアムスポーティー」を具現化したAUTECHブランドのフラッグシップモデルです。Gグレードをベースに、スポーティな専用装備が各所に奢られています。
専用外装
– 湘南の海面をイメージしたドットパターン専用グリル
– ブルーに光るシグネチャーLED
– メタル調フィニッシュのサイドプロテクター
– 海中の光をイメージした専用18インチデザインホイール
– 専用色:ディープオーシャンブルー

専用内装
– 日産車最高峰「プレミアムナッパレザー」の専用キルティングシート
– ブルーのステッチとアンビエントライト


ベースがGグレードのため、BOSEやプロパイロット2.0のオプション選択も可能です。
注意点:アルファード エグゼクティブラウンジのようなボックスシート(後席が向かい合わせになる配置)は非設定です。VIPグレードとの比較検討の際はこの点を押さえておきましょう。
5. e-POWER VIP(8,698,800円)
ショーファードリブン(運転手付きの使い方)を想定した最上級グレードです。後席の快適性を最大限に追求しており、法人ユーザーや後席重視の方に向いています。
後席の充実装備
– 15.6インチ大型後席モニター(天吊りタイプ)
– 読書灯
– 専用プレミアムシート
– VIP専用格納式オートサイドステップ(VIPロゴ入り・アンビエントライト付き)


内外装
– 内装はブラックで統一したシックなデザイン
– 伝統の「VIP」エンブレム
– 落ち着いたシルバー塗装の専用ホイール
旧型エルグランドにあった「VIPグレードの2列4人乗り仕様」は新型E53では廃止されました。全グレード統一で3列7人乗りとなっています。
6. ステップタイプ(価格未定)
助手席側スライドドア下部に電動格納式ステップを内蔵し、ドアの開閉と連動してステップが展開します。高齢者や足の不自由な方の乗降をサポートする福祉対応モデルです。価格は2026年5月28日の先行受注開始時に発表予定です。

なお、VIPグレードにもオートサイドステップが標準装備されていますが、あちらはVIPロゴ入り・アンビエントライト付きの上質な仕様でショーファードリブン向けのものです。
アルファードとグレード別に価格を比較
「エルグランドは高い」という声がありますが、実際にどのグレード同士が対等な比較になるのかを整理しました。
なお、アルファードは2026年6月3日に一部改良を実施し、グレード構成が変わっています。エントリーだった「HEV X」は廃止され、新たに「HEV G」が新設されました。以下は改良後の最新価格との比較です。
比較の前提:エルグランドは全グレード4WDのみのため、アルファードも4WDモデルで統一して比較しています。
エントリー対決:e-POWER X vs アルファード HEV G(4WD)

| 項目 | エルグランド X | アルファード HEV G 4WD |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 6,897,000円 | 5,819,000円 |
| 価格差 | — | エルグランドが約108万円高 |
| 駆動方式 | 4WD(e-4ORCE) | 4WD(E-Four) |
| 自動車税(年額) | 約34,500円(1.5L) | 約45,000円(2.5L) |
エントリー同士の比較では約108万円の差があります。ただし10年乗り続けた場合、自動車税だけで約10.5万円の差が縮まります。
標準上位対決:e-POWER G vs アルファード HEV Z(E-Four)

| 項目 | エルグランド G | アルファード HEV Z E-Four |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 7,579,000円 | 6,619,800円 |
| 価格差 | — | エルグランドが約96万円高 |
| ボディサイズ | 全幅1,895mm/全高1,975mm | 全幅1,850mm/全高1,935mm |
アルファードのZシリーズは売れ筋グレードのため、多くの方がこの組み合わせを比較することになると思います。エルグランドGのほうが全幅で45mm、全高で40mmワイドです。機械式駐車場や立体駐車場の幅・高さ制限に引っかかるケースもあるため、事前確認をおすすめします。
最上級対決:e-POWER VIP vs アルファード エグゼクティブラウンジ HEV(E-Four)

| 項目 | エルグランド VIP | アルファード エグゼクティブラウンジ HEV E-Four |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 8,698,800円 | 8,869,300円 |
| 価格差 | — | エルグランドが約17万円安い |
| 後席モニター | 15.6インチ | 後席シアター標準装備 |
| ボックスシート | なし(7人乗りのみ) | あり(4人乗り仕様あり) |
最上級グレード同士はほぼ同価格帯で、エルグランドVIPのほうがわずかに安くなります。ただし、エグゼクティブラウンジにはボックスシート(後席向かい合わせ)仕様があるのに対し、エルグランドVIPは7人乗りのみです。後席を向かい合わせで使いたい用途には、アルファード エグゼクティブラウンジが向いています。
グレード選びのまとめ
| こんな方に | おすすめグレード |
|---|---|
| 装備はひと通り揃えたい・コスパ重視 | e-POWER X |
| BOSEやプロパイロット2.0も検討したい | e-POWER G |
| 外見をスタイリッシュに差別化したい | AUTECH LINE(X/G-Spec) |
| スポーティな高級感・ブルーアクセント | AUTECH |
| 後席を最上級に仕立てたい・法人利用 | VIP |
| 高齢者の乗降サポートが必要 | ステップタイプ |
※本記事の情報は2026年5月時点のものです。アルファードの価格は2026年6月3日改良後の情報を使用しています。最終的なグレード・装備・価格の詳細は、各メーカー公式サイトおよびディーラーでご確認ください。
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